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「なでこSMILE」のアニメ感想BLOG

アニメや漫画などについての、自分の思いを記録するブログ

殺人事件殺人事件

ポエム

初稿<2014/1/23>

「そこで死んどる横田がこの殺人事件の犯人や。おまえは十年前の『丸尾山スキーロッジ殺人事件』で死んだ横山、向田たちが書き残しで犯人やいうて疑ごうとった、隣客の団体職員の連中を皆殺しに殺したんや」
「・・・・・・」
「無駄です。この方は気違いヤクザ探偵。自分の推理に絶対的な自信を持っています。例え相手が総理大臣だろうが、死人だろうが、『殺人事件』だろうが容赦はありません」
「お、こんだけでお前も感づいたっちゅーことはさすがはおれの助手やな。わははは。現実ん立場はまるで逆やけど!おっとっと」
「しかしなぜこんな無茶苦茶な犯人に気がついたんです?まさか霊感があるだなんて言わないでしょうね」
「あるかんなもん。単純な話や。お前も気いついとったようにこの事件、十年前の事件と何からなにまでそっくりや。おんなじ場所、おんなじ時間に絶対来るはずのないおんなじメンツの隣客。そんで証拠もアリバイも手がかりもなんにもあらへん。あるんは死体と事件、それだけや。ただ前回と違うんは、動機があるっちゅーことや!この違いは大きいで!お前がそこで死んどる以上に大きい。なあ横田!いや、『横山さんら』よ!」
「・・・・・・ごぼ」
「うわ!気色悪いのう、なんちゅう顔や。思えば不憫なもんやけどな、ちゃんと教えたらなあかん。前回の事件、あれは殺人事件やないいうことや。あれはただの事故やったんや!」
「なるほど。それで私に前回の事件の被害者と今回の事件の被害者の交友関係だけでなく、『今回の事件の被害者の身辺素性』に絞ってあんなに調べさせたわけですか」
「そうや。なあ横田。ホンマは『横田なんて団体職員はおらん』かったんや。お前らを殺したんは、いうなら『横田いう事故』や。お前らが死んだんは雪の重みで潰れて漏れたプロパンガスの中毒やったんや。こんたてもん、団体職員のやった隣の部屋は地図やったら隣りやけど構造上は実は一階下にあったんやで。だから誰も死なへんかったんや」
「・・・・・・なら俺はだれだ」
「前回も今回も宿泊名簿には載っとったよ。職員名簿にもあった。異様に不自然な形でな。でも、わしの話をお前が聞いた後調べたら消えとるはずや。そんなやつどこにもおらへんいうことが。それがお前が犯人やいう証拠や!」
「・・・・・・だとしたら俺が起こした今回の事件は?」
「おらん人間に殺人なんかできるわけあらへん。お前はお前みたいなもんがいてほしいいう願望や恨みで形づくられとるただの現象や。加害者代表であり被害者代表、つまりは『殺人事件』そのものや!お前はここで死んどる連中に殺されたっちゅー恨みで、その怨嗟がこの連中をまたここに呼び寄せたんや。同じ職員の中におったほうが都合もええやろうが。そんで十年掛かってようやく当時と完全に同じ状況に誘い込むことに成功したんや。絶対こーへん連中をあろうことか絶対泊まらんこん部屋にな!人の念いうんはすさまじいもんやで。それで前回自分らが死んだのと似て非なる、超完全犯罪が再現されたっちゅーこっちゃ。お前いう事件が、もう一度絶対起こらんはずのガス漏れを起こさせたんや。お前らがどうやって殺されたんかを今度こそ証明するためにな」
「・・・・・・なら俺のやったことは?」
「結果だけみたら、逆恨みによる殺人やいうことになるな。お前らは自分たちを殺した思うとった犯人を憎むあまり、無実の連中を殺し、自分らはただの事故死やったいうことを証明してしもうたんや。これがお前らの、そんでこの事件の全貌や」
「・・・そんな、俺はなんのために?どうすればいいんだ」
「お前はおれの話しを聞くために事件を起こしたようなもんよ。ほんですべてを知った今お前はどっかしらで裁かれるべきや。でもそれはわしらにはできん。せやけどお前らと、そんで今回死んだ連中が安生成仏できるよう、まずは横田いう形を取って存在しとる殺人事件の概念は過去と現在から消えてもらおか!!!」

それを聞いた横田の顔はぐにゃりと変化し、横山や向田たちの表情に次々と変化したあと黒い塵となって掻き消えた。
そして後日宿泊名簿や職員名簿から横田なる人物の存在が完全に消え去っていることが確認された。
こうして、関係者全員死亡という形で今回の事件は幕を下ろした。
これが世にも珍しい殺人事件が犯人の殺人事件、通称『殺人事件殺人事件』の全貌である。

世間では都市伝説と化していた前回の事件とあわせて、警察はガス漏れによる集団事故死として今回の事件を処理することができるだろう。
これで頑固ものだった地主のロッジを二束三文で買い叩き、安心して自衛隊の演習所を建設できるというものだ。
ああ気違いやくざ探偵。
シノギのためなら霊をも鎮める。
迷宮知らずの陰陽師