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「なでこSMILE」のアニメ感想BLOG

アニメや漫画などについての、自分の思いを記録するブログ

「響け!ユーフォニアム2」のエンディングについて考える

一人シンポジウム

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※ エンディングに関するネタバレを含みます。ご注意願います。


「えーそれでは、今回はテレビアニメ『響け!ユーフォニアム2』のエンディングについて考えるとのことですが。あんたあんだけ喋っといて、まだ言いたいことがあるんですか?」
「ええ。私はこのエンディングが『けいおん!!』の 『No,Thank you!』以来、京ア二屈指の名作だと思ってまして」
「へーそんなにですか!パッと見てすごいって感じはしませんでしたけども」
「最初はただただ、圧倒されていただけだったんですが、2話、3話と繰り返し見るうちに、だんだんとその意味に気が付いてきましてね」
「この作品は毎週見てたんですか?」
「いえ、ちょっと構えすぎてしまって。体調が万全の時を見計らっていたら今日になりました。今日1話から5話まで一気に見ました」
「もう11月じゃねーかよ!意気込みすぎだろアホか!!!そういえば、なんか『聲の形』で体調崩したとか聞いてますが」
「ええ、あの作品はちょっとボディーにモロに入ってしまって・・・。シリアスだとは思ってたんですけど、前知識とか全然入れずにノコノコ行ったら、バッドトリップして死にかけました」
「情けないですね。でも結構珍しいんじゃないですか?アニメでそんなにへこむなんて」
「あんなに食らったのは『かぐや姫の物語』以来ですね。あんときも三日間くらい眠れませんでした。でもいいんです趣味なんで。京アニ作品見るときは俺、いつもノーガード戦法なんで。別に死んでもいい」

「それでは、今回のエンディングなんですが、最初は確かなんか、青い水玉がポタポタ落ちてきてるところから始まりますね」
「ええ。それは『水時計』なんですね。水の中を油の玉が移動すると、水車が回転する仕掛けのおもちゃです」
「あー、なんか温泉地とかで売ってるやつですね。砂時計の水版みたいな」
「そうです。その意味するところは、『限りある時間の止まらない流れ』です。それがぽたぽたと落ちているところから、このエンディングはスタートするわけですが、その後はどういう表現になっていました?」
「確か『劇場版まどマギ』みたいな、不思議なお茶会を主要メンバー四人がやっているところが写されていました」
「そうです。ここで重要なのはその色彩です。『叛逆の物語』の冒頭シーンみたいに見えたのがいい証拠で、これパステルカラーの乙女チックな色味で描かれているんですけど、全体的にくすんだセピア色で、統一感というものが全然ないんですよ。制服の色もバラバラ、ケーキとかも青味がかっていて、全然おいしそうに見えない」
「ほう、言われてみればそうですね。そういえばチューバくんも無表情でなんだか怖いです」
「いや、彼は元からなんだけどね。マシュマロマンというか」
ミシュランマンみたいなね」
「あはは。千と千尋カオナシみたいじゃないですか?」
「いいから早く次行ってください」
「・・・・・。とにかく、とても楽しそうに見えない。退屈しているように見えます」
「ほう。言われてみれば確かに不思議ですね。本当にみんなぼーっとしています。ほかには、何かありますか?」
「チューバ君が『ガラスの靴みたいなお菓子』をくれるのに対して、久美子ちゃんがいらないと首を振ります」
「あらまあ、ケーキがいらないだなんて!これが唯ちゃんだったら、『あ~ケーキだよ、あずにゃん』となるとこですが・・・。おや?なるほど」
「そうです、これは『放課後ティータイム』の再現なんです」

「つまり北宇治高校の四人は、放課後にお茶会をしたいわけではないと、こういうことですね」
「そうです。本作は『けいおん!!』のアンチテーゼであると、京アニが明言しているのです!これは特筆すべきことです。十数キロも離れていない、桜ヶ丘高校ではあれだけのんびりした雰囲気だったのに!」
「ふわふわタイム〜とか言ってたら、麗奈にトランペットで頭かち割られそうですね」
「想像するだけで怖いです!では、その後どうだったかに戻ります。チューバ君がタクトをふるって、お菓子に魔法を掛けると、ケーキがマウスピースに変わります。これを見つけた久美子たちは目を輝かせて、それを手にとって、部屋の外へと走り出すわけです」
「『けいおん!!』がケーキの中で演奏してたりしたのと随分対照的ですね」
「そうなんです。『映画けいおん』のエンディングで、澪ちゃんが壁を壊して外へ出て行く描写がありますが、あのイメージが反復されているとも言えます」
「確かによく似ていますね。似ているといえば、この四人が外で走っているシーンは、ユーフォニアム一期のエンディングと似たような感じにしてあります」
「そうですね。わざと全く同じ表現にしてあります」
「それにはどのような意図があるんですか?」
「まず、これはタイトルに『2』と堂々と書いてあるように、一期の正当なる続編で、同じことの続きをやるという意図があるのではないかと考えられます」
「ふむ。ところでこの四人はなぜ走るんですか?」
「走ると青春っぽいからです」
「なんで青春っぽいんです?」
「ちょっと待ってくれ。えーとね。・・・それはあとから考えよう。てかそういうのは直接、京アニに聞いてくれよ」
「お前今、自分が何言ってるかわかってるのか?」

  • 必要なのは「楽器」と「仲間」で同じだが、「音楽」へのアプローチが違う

「ともかく、くすんだ乙女ちっくな部屋から出た四人は、極彩色の青空と緑の輝く丘へと『裸足』で、走り出すんですよ」
「これがまた、滅茶苦茶綺麗ですよね」
「目が洗われるような美しさです。世界がまばゆく輝いていますね」
「私なんかCMの京アニ文庫の『ヴァイオレットエバーガーデン』ってやつ見ただけで、息を飲みました」
「あれヤバイよね!アルチュールランボーの詩でも読んでる気分になりました」
「ヤバスギでしょ。頭おかしいんじゃないの?」
「もう正直、これまでさんざん信者だとか言ってきたけど、個人的にスタジオオジブリとか、ガイナックス完全に超えちゃいましたね」
「まさか、ジブリ超えるなんてね」
「話を戻しますと、裸足で外へ駆け出した四人は、野の花があちこちに咲いている草原の中を一緒に走っていくんです。そして最後、久美子は自分のユーフォニアムを見つけて、ひざまずいて抱きしめます。みんな自分の楽器を探しに行ってたんですね。一期の葉月ちゃんがチューバを選んだときのエピソードの反復です」
「まさかのジブリ越え・・・」
「聞けよ!そして見上げると、すでにそれぞれの楽器を手にした仲間たちが颯爽と立っていて、麗奈にさあ行こうと手を差し伸べられます。そして、ゆっくりと立ち上がる久美子」
「あの久美子ちゃんのお尻エロいよね」
「このゆっくり立ち上がる部分で、挫折からの立ち直りを表現しているんですね。あの尻はmother fuckin'エロいです」
「尻は揺れないことにその本質があると思いますがね。フォルムと量感ですね」
「ここで、注目すべきは裸足で駆けていくところです。なぜ裸足だかわかります?」
「私やかーずさんが、裸足に制服の女の子が好きだからですよね?」
「違います。かーずさんそんなこと仰ってましたっけ?」
「以前、女性の足は美しいことに気づいた、とかブッダみたいなことを仰ってました」
「そうでしたね。かーずさんとかアニメ会クラスの方が仰ると、もうそれだけでグッとくるよね。うーん、確かにそれもあるかもだけど、ほら最初に言ったケーキの形はなんでした?」
「ガラスの靴っぽいハイヒールでした」
「そうです。私たちは『シンデレラにはならない。欲しいものはこの自らの素足で取りに行く』っていうことを意味しているんです!」
「なるほど。与えられた状況の中で、ただ楽しくやっていただけの『けいおん!!』とは違うんですね」
「・・・・・・。そうですね。まあ、あれはそう言う意味で、限りなくロックですがね・・・。何もロックだからと言って、政治的だったり反抗的である必要は全くありません。半径2メートルくらいの自分の世界を、下手なりに歌い出すのもロックですからね。てか、むしろ本来はこっちだからね!さわちゃんも認めてたし!なぜならばその前身である元来フロアカルチャーだったR&B及びJAZZの曲を黒人ラジオDJがスラング的に賞賛の意味で使ったロックンロールという言葉から始まったロックはBLUESに根本的に・・・」
「悪かったよ。言い方が悪かった。ごめん。ロックの話は置いといて、ユーフォはどうなんですか?」
「こちらは大人や先輩、他人に出会って、導かれていく物語なんです。どちらも女の子がメインの、高校生活を取り上げた日常系アニメであることには変わりありませんが、やりたい事へのアプローチの仕方が全く違うんです」
「やりたいことってのは音楽ですか?」
「そうです。つまり、高校生活を『生きる』ってことです」
ユーフォニアムは日常系アニメなんでしょうか?」
「いえ、ですのでそこら辺を考えると面白い。ここは『日常アニメ』という新ジャンルとしてみても面白いでしょうね。だからこそ、写実的に嫌な部分もこってり描きます。むしろニュアンス的には『氷菓』に近いのではないでしょうか?」
「誰にでも青春ですね」

  • 自分たちの選んだものに意識的な『ユーファニアム』、無意識的な『けいおん!

「そして、四人集まった皆が演奏を始めると、自分のネクタイを取った久美子が、旗のように高々とそれを掲げ、自分たちの姿を誇らしげにこちらへ見せつけるんです。画面左隅に止まってるということは、ここが終点です」
「ところでオッパイもフォルムと量感でしょうか?」
「そこで、自分たちの選択に後悔はない!私達が走った道乗りは決して無駄ではない!ということを宣言して、ネクタイを風に吹き飛ばして終わりになるわけです。くーカッコイイ!!!オッパイはフォルムと質感です!!!」
「いやもうマジでカッコいいですよね!ここは!」
「この四人のラストショットで、限られた時間に意識的である今作と、出来るだけ無意識に過ごしてみせた『けいおん!!』との違いが明確になると思います」
「『けいおん!』と比べてみると、確かに面白いですね」
「かーずさんと、ユーフォニアム二期のキービジュアルが出たとき、久美子たちはまるで戦争でもしに行くようだ。先輩たちは天に召されて行くかのようだとメールで話したことがあります」
「あの久美子、仁王立ちしてますよね。ところで今回の『ヴィヴァーチェ!』って曲もカッコいいですね」
「はい、これまたオープニング曲もエンディング曲も抜群でね!一期のスカコア調のタイトな感じより、もっと開かれた祝祭的なムードのある曲になっています。ZAQと編曲者の高田暁って人、超やべー」
「ちょっとだけ、曲に関することでなにかありませんか?」
「例えば、『ずっと忘れないよ』と歌われる部分で、誰もいない準備室、置き忘れたノート、音楽室が写るのは、完全に過去の描写です。ただ振り返ってはいません。走りながら後ろは見れませんからね」
「なるほど。じゃあ、このあたりに出てくる、薬指の花の指輪にキスをする、2年生が写るのはなんです?」
「まだ異性に向いていない、他人に対する思慕の情です。端的に言えば性の芽生えですね。またキスは別れの挨拶でもあります」
「いやー読みますね!!!じゃあ、このネクタイを取るというのは、どういう風に考えていますか?」
「ネクタイは学年で色が変わるので、これまた『不可逆な時間と変化の象徴』です。それをほどいて、空へ投げるということは、これで終わりだということを意味しています。つまり、3期はありません。2期できっちり終わらせてくるということを意味しています」
「え!本当ですかそれ?そんなこと言って大丈夫なの?」
「知りませんよそんなこと!ただ『映画けいおん』のエンディングで澪ちゃんが幕を引きながら歩いてたり、白薔薇を投げたのと同じように、制服をある一部でも脱ぐってことは、『卒業』ってことです!」
「怒んないでくださいよ。なるほど、『No,Thank you!』ではみんな違う制服を着てましたもんね」
「そうです。あずにゃんに合わせて、みんな別の制服に着替えていました。これも脱ぐってことを意味しています」
「でも、みんな一年生ですよ?」
「だから、卒業ではなく『この作品の終わり』となるわけです」
「予想が外れたらどうします?」
「むしろ外れてくれ!!!俺、ふもっふ以来の京アニ三期が見たいんだよ!!!『3』でいいじゃん!3クール全3本で行きましょうよ!『あずまんが大王』だって全3巻だったじゃないか!!!」
「ちょっと、落ち着いてください!『あずまんが大王』は元々全4巻です!!!そういえば最後に『水時計』がまた映る場面で終わりますね」
「そうです。普通の時計と違って、明確に時間の制限のある『水時計』が落ちきったところが写されて、このエンディングは終わります」
「やばい、感動してきた!つまり『短い青春の時間を、私たちは全力で駆け抜けたよ』とこういうことですか!」
「そうなんですよ!!!それを考えたらもう涙がとまらなくなってしまって!」
「もう終わって欲しくない!!!」
「『けいおん!!』の時以来ですよ、この感じ。わかります?ということで、いてもたってもいられなくなり、今回シンポジウムを開催したわけです」

  • なぜ、青春は走るのか?

「それじゃあ、最後にせっかくなんで、『なぜ青春は走るのか』についても考えてみましょう」
「なんで走るんですか?」
「まず二足歩行形態へと進化した人類は、走れるようになることでその人間的特徴を最大限発揮することができるようになったわけですが・・・」
「え??そっから考えるの?」
「だって知らないんだもん。とにかく、直立二足歩行できる生き物は人間とゴジラだけです。さて、人間はいつ走ります?」
「体育とか運動するときじゃないですか?」
「まあその時点で青春っぽさが出ますけど、今の路線で説明すると、人間は何かを追うとき、もしくは逃げるときに走るわけです。昔から鹿を追う、隣の部族の攻撃から逃げるなどのときですね」
「まあ歩いてたら、鹿なんか捕まえられませんわな」
「そういうことです。普通の状態である『歩く』から、『走る』に切り替わるのは、何か欲しいものがあるとき、手に入れたいものがあるとき、もしくは何か嫌なものがあるとき、何かを振り切りたいときに走ります」
「ほーなるほど。青春の定義に近くなってきた」
「そうです。走ることは苦しことであると同時に喜びである。だからこそ『青春しているときは走るんです』。だから『たまこラブストーリー』でもたまこは、最後走ったわけです!『映画けいおん!』のラストでも、エンディングでも、最後はみんな走ったわけです。手に入れられるかどうかは問題ではない。走りたいから走るんです。青春とは結果ではなく過程です!」
「おお、なかなかいいんじゃないですか」

  • オンタイムで傑作が完成するのを見届ける快楽

「以上、内容には触れずにエンディングからユーフォニアム2について語りましたが、言いたいことはただ一つ。こんなヤバイのが今放送しているんだから、ぜひ生で見てくださいと。この文章の目的と結論はそれだけです」
「信者としても本当にお願いします。入信してください!」
「どうなるかわかりませんが、あれだけガッチリ一期をやって、あの完成度の映画と『聲の形』をかましてからの二期ですから、京アニのフルパワー、ほとんど京都アニメーションすべてを賭けてのエントロピーの爆発を目撃できると思います」
「昔ジブリのスタッフの方の講演で、質疑応答の時間全部一人で使い切ったあんたが、ジブリより面白いって言ってるくらいですからね!」
「・・・・・・。ともかく、普通はこんなアニメ作品のつくり方は出来ません。完全に異常です。京アニ作品としても圧倒的におかしい。たぶん会社として『何か』を狙ってるんでしょうね」
「まあ、業界の事情などさっぱりのあんたが、わかるくらいですからね。どれだけ特異な状態なんでしょう?今度かーずさんに聞いてみます」
「個人的には、この完全試合に立ち会っている感じは『蟲師続章』以来です」
「『日蝕む翳』を『蟲の宴』でスタッフの方と見て、『鈴の雫』をまたスタッフの方とバルト9で見ましたね」
「人生でも素晴らしい経験の一つになりました。この同時代を共有する感覚は、テレビアニメ視聴の本質的な魅力の一つですからね」
「みんなで一緒に目撃したいですよね」
「『かけだすモナカ』、まだBD買ってないので見てませんが、早く買います。また最終巻ばかり増えるぜ」
「そういや、ここでも走ってますな」
「ともかく、『面白いアニメが見られる』というのは、自明なことではありません。京アニに限らず、これだけ現状コンスタントにみられるのは、スタッフの努力と面白いアニメを正当に評価してお金を払う視聴者の審美眼があって、初めて成立することです」
「『アニメ』でやってんですからねコレ!信じられます?凄すぎるでしょ!?全然映画とかドラマに負けてない!」
「私は『セブン』以来のデビッドフィンチャーファンですが、面白さの絶対値で見て『響け!ユーフォニアム』は『ハウスオブカード』とタイマンはれますね」
「そんなこと言ったら、『蟲師』だって楽勝でカンヌのグランプリレベルですよ。俺ん中では長濱博史はデビッドフィンチャーと完全に同列だし」
「我々ファンはここは全力で走って見届けたいですね」
「まあ、気楽でいいんじゃない。マニアがジャンル潰すっていうぜ?ファンじゃない人でも、普段アニメを全く見ない人でも、見といて絶対間違いありません。朝ドラ並みの柔軟性もちゃんとあります。友達とか親にも勧めてみて下さい!」
「今年はまたアニメや特撮のレベルの高さを、日本が思い知った一年になったんじゃないでしょうか」
「ということで、ぜひとも『響け!ユーフォニアム2』、一緒に見ましょう!現在、絶賛放送中です!」
「放送中にこうした文章書けるだけで幸せだよね。手が震えますよ」
「ありがとう京都アニメーション!」


Hibike Euphonium 2/ 響け!ユーフォニアム2 ED - Vivace! - Kitauji Quartet [HD]